(仮称)三次市民ホール建設設計業務公募型プロポーザル このコンペは、広島県三次市に、多様化・高度化する市民の芸術文化活動に柔軟かつ的確に対応でき、さらには市民交流や文化情報発信など,新たな機能を持つ文化拠点施設を計画するというものです。 三次市のメインホールとして1000席程度の客席をもつホール、日常的な市民の創造・交流の場となる創造支援諸室、300台の駐車場等が求められました。 緩やかに曲線を描く緑の広場を、周辺道路レベルより2m程高く浮かべ、周辺のスケールに合わせたボックスや、馬洗川橋と対をなすランドマークとなるフライタワーを点在させた、自然とまちを同時に感じられる「みよし文化」を発展・発信する「新しい街」の提案です。
[概要]
敷地面積:約14,000m2 建築面積:2,727m2 延べ床面積:5,749m2
北側の三次の山々と、南側の馬洗川に挟まれた自然豊かな敷地です。田畑が広がる敷地周辺のスケールに対して突出してしまう劇場のフライタワーを馬洗川橋と対をなすランドマークとし、周辺のスケールに合わせたボックスを点在させることで敷地に馴染むよう計画しました。
敷地は元々周辺道路レベルより低くなっており、道路レベルより2m程高い位置を屋上広場とし、周辺の住宅への影響を極力抑えました。屋上広場の長手方向を南北軸に沿って配置し、緑の屋上広場が南からの光を潤沢に受けれるようにしています。さらに、フライタワーを中央に配置することで周辺の住宅への影響に配慮しています。駐車場は平置きで300台を確保しています。
屋上広場の上に点在するボックスとフライタワーによって自然とまちを同時に感じられる「みよし文化」を発展・発信する「新しい街」です。
屋上広場、コート、リハーサル室、大ホールがつながる計画にすることで、大ホール客席から、舞台・リハーサル室を通し、コートまで視線が通り、様々な演出や利用の仕方が可能になります。同時に、屋上広場を散策する市民が、リハーサルの様子を眺めたり、舞台裏に遭遇する機会も出てきます。閉館時も自由に散策できる屋上広場は、市民が創造・交流へ参加する入り口にもなります。
通常であれば、共通ロビー・ホワイエ・客席・舞台と並ぶ配置を逆転させ、共通ロビーにあるリハーサル室と舞台を並べました。これにより大ホールの舞台とリハーサル室は搬入場、舞台備品庫と近接します。搬入場と接するリハーサル室には、トラックが導入でき、搬出入の作業性を高め、時には大道具作業場や最大で100名程度の出演者に対応する楽屋になります。 本舞台で気軽にリハーサルができ、リハーサル室で創造された演目を本舞台へ移しやすく、時にはリハーサル室が大ホールの奥舞台にもなります。リハーサル室に入る自然光が舞台上にも届き、自然光の中で大道具の仕込みができ、舞台の仕込みの見学、大道具ワークショップなど、舞台が様々な創造・交流の場となり、来館した市民が舞台創造の場に出会えます。 鑑賞ゾーンであった舞台が創造支援ゾーンに属するような計画としました。
屋上広場に点在するボックスは創造支援の諸室となり、屋上広場から直接アクセスすることも出来ます。客席を囲むような馬蹄形のホワイエからは北に広がる山々が眺められ三次らしさが感じられる空間になり、公演時には開演前の高揚感を演出し、公演がないときは市民ギャラリーや交流の場として開放されます。