敷地は北と西に道路のある角地で、北側の道路に沿って桜の緑道が続きます。建物を敷地の北側に寄せ、北・西・南の三方に周辺建物に対する引きを取り、室内環境(光・風・熱)を整え、プライバシーを確保しつつ緑や街に対して開口の多い開かれた設えを可能にしました。
道路と敷地のレベル差を活かし、採光・通風が可能な地下空間を計画する事で、夫婦・子供2人・夫人のお母さんという3世代5人の生活に必要なスペースを確保しました。玄関は地下と1階の中間のレベルで、半分下がると地下の主寝室・書斎コーナー、半分上がると1階のリビング・ダイニングになります。2階は吹抜けでリビング・ダイニングと繋がり。その吹抜けを挟んで夫人のお母さんの部屋と子供部屋のゾーンを分けていますが、間仕切壁に開口を空ける事で、いくつもの窓越しに緑や空を感じられるようになっています。
将来ホームエレベーターを設置出来る準備もしてあります。
2009年 撮影・大沢 誠一氏
[ キーワード ]
地下室・屋根付テラス・立体ワンルーム・太陽光発電・スキップフロアー・ガレージ・自然素材
[ 概要 ]
構造・RC造+木造 規模・地下1階地上2階 敷地面積・105.60m2(31.94坪) 建築面積・57.81m2(17.48坪) 延床面積・141.68m2(42.85坪) 用途地域・第1種低層住居専用地域
北西からの外観。2階の床までが鉄筋コンクリート造で、2階は木造の混構造にして、地盤への負担を減らしました。
北側外観。特徴的なコンクリート外壁のシルバー塗装は、コンクリートの質感が好きと言うご主人の要望と、太陽光発電パネルの設置を希望する夫人のエココンシャスを両立させるべく、夏の日射を反射させてコンクリートへの蓄熱を防ぐために塗ったものです。
北側夜景。敷地北側に続く桜の緑道に向けて様々に開けた窓によって、北側ながら道路に向けた表の表情を作り上げました。
地下の主寝室から、書斎コーナと玄関を見ています。主寝室はカーテンで取り囲むことが出来、風や明かりを取り入れつつ、簡単に仕切りプライバシーを確保出来るようにしています。
リビング・ダイニング。様々に開いた窓から外の風景が飛び込んできます。道路とのレベル差を利用して、道行く人の視線は気にならないように計画しました。
リビング・ダイニング上の吹抜け。冬は気積の大きな空間で暖房効果の高い電気式床暖房とし、サーキュレーションファンで空気を循環させられるよう工夫しています。
リビング・ダイニングからは直接道路が見えないので、桜並木がすぐそばに感じられます。
屋根付テラスは花見の特等席です。夜には桜を照らして、道行く人たちにも夜桜を楽しんでもらえるように、スポット照明も設えてあります。
リビングからキッチンを見ています。立体的なワンルームにして、家族の気配をいつも感じられるようにしています。
キッチン正面の吊り戸棚の扉は、表裏を白と緑の拭き取りで塗り分け、その時の気分で簡単に並べ替え、楽しめる工夫をしています。(前の写真と見比べてみて下さい。)
キッチンからの1階全景。キッチンは桜並木や立体ワンルーム全てが見える、この家の中心になっています。
2階の踊り場は、子どもたちが楽しめるプレイルームです。奥が子供部屋。壁は桐の縁甲板にオスモ拭き取り仕上げです。
子供部屋から浴室・洗面脱衣と夫人のお母さんの部屋を見ています。子供部屋の壁にはコンクリートを打つ時に使った、型枠の合板を再利用して、白く塗装しました。
夫人のお母さんの部屋から吹抜け越しに子供部屋を見ています。間仕切壁に開口を空ける事で、いくつもの窓越しに緑や空を感じられるようにしました。