5人家族の4人が役者、1人も映画の製作に関わる、役者家族の住宅です。
1階は家族共用のスペース、2階は夫婦と夫人のお母様のスペース、3階は3人の子供とご主人のスペースです。各階とも視線の通り方を意識した計画になっています。
住宅と道路の間の外階段は「未満の塔」と呼ばれ、地下に設けた主催する劇団の稽古場・アトリエ乾電池の地域へ向けた櫓(ヤグラ)になっています。
2010年 撮影・大沢 誠一氏 尾仲 浩二(☆) 大塚 聡(○)
櫓(ヤグラ)…歌舞伎・人形浄瑠璃などの劇場で、官許の標識として正面入り口の上に造られた構造物。
[ キーワード ]
地下室・屋根付テラス・2世帯住宅・木造3階建て・ホームエレベーター・稽古場・南庭・駐車場・外階段・開放的な浴室・自然素材
[ 概要 ]
構造・RC造+木造 規模・地下1階、地上3階 敷地面積・166.77㎡(50.44坪) 建築面積・91.36㎡(27.63坪) 延床面積・302.77㎡(91.58坪) 用途地域・近隣商業地域
住宅と外階段をつなぐブリッジの見上げです。ブリッジを渡った3階の入口は、将来の2世帯住宅の玄関となります。手前の外階段は「未満の塔」と呼称され、この家の「生活」と「仕事場」を繋ぐ道となっています。
居間から食堂の方向を見たところです。1階は玄関、キッチン、納戸・EVの3つのボックスによって緩やかに仕切られたワンルーム空間となっています。ボックスはラワンベニヤ・柿渋仕上げです。
食堂の椅子に座る人と居間と畳スペースの床に座る人の目線の高さが一緒になるようにしています。僅かな段差によって居間、食堂、畳スペースとつながる家族共有のスペースです。
畳スペースからも食堂、居間を見通す事が出来ます。右手の建具を閉めれば個室にもなります。
階段の吹抜けから2階 附室を見ています。各階の設えは、裏と表、見る見られる、移動する視点など、映画や舞台セット・劇場構造を意識した計画となっています。
2階 主寝室から階段室を見ています。主寝室は3階のサンルームと吹抜けで立体的につながっています。
洗面・浴室です。北側に位置していますが、上部にとったトップライトから自然光が射し込む、明るく開放的な浴室になっています。
屋根付テラスです。1階に駐車場と広い南庭を確保するために、テラスの壁を斜めに傾けることで、広いスペースがとれました。屋根付のテラスは洗濯物干しとして有効です。
3階のサンルームです。柿渋をぬったラワンベニヤに大きなトップライトが穿たれます。
3階の「の」の字を描くラワンベニヤ柿渋塗りの壁にそって並ぶ3つの個室は、壁を接すること無く、離れて配置されています。
「未満の塔」から3階の住宅部分への入り口です。将来2世帯住宅に改修出来る準備もしてあります。
暮し始めてからの正面です。手前には地下に設けた主催する劇団の稽古場・アトリエ乾電池へのアプローチ「未満の塔」、奥には住宅がみえます。(☆)
地下のアトリエ乾電池です。天井高を高くして、段状の客席も組めるようにしています。(☆)
アトリエ乾電池の公演時には、「未満の塔」は櫓になります。(○)
「未満の塔」には、道路に向けて誰でも座れるコンクリートのベンチを設け、公演時は受付になります。(○)