「そよそよと」 「吉野材」を使った「暮らしの道具」デザインコンペ 優秀賞
このコンペは奈良県の主催で「吉野材」の新たな利用方法を確立するために、多くの人々に受け入れやすい「暮らしの道具」をデザインするというものです。量産可能なものであること、市場性があるもの、国内外に広く受け入れられるもの、現代の生活様式に適したものであることが求められました。
風に揺れる木々をイメージし、吉野の自然や風景を、日々の暮らしの中で感じてもらえる、風に揺らぐ一輪挿しを提案しました。
自然とは、接するととても気持ちのよいものですが、人の思いの侭にならないものでもあります。
この一輪挿しは、おきあがりこぼしのようにバランスを取って自立しています。
風が吹けば、息吹を吹き込まれたように揺れ動き出します。
風が強く吹く日には大きく揺れます。
風がなければ、動きません。そんな時は指で軽く押してみたりします。
背の丈が異なれば揺れ方も変わり、バランスが悪ければ、倒れてしまうかもしれません。
日々の暮らしの中で、自然が身近にあることの豊かさを感じる「暮しの道具」として、「そよそよと」を考えました。
吉野材は、『年輪幅が細かく均一で無節、完満通直、真円で強度が高く、美しい色艶と癒される香りを持つという特徴』があります。
そんな吉野材の魅力を活かし、吉野の職人さんのろくろによって、材を削り出すという、非常に素朴ながら高度な技術によって、手に馴染み、日常の中で身近においてもらえる一輪挿しとしました。
一輪挿しという大きさが、小径材や間伐材を活かすことにもつながります。
削り出すことによって生まれる、丸く滑らかな曲面には、吉野材の特徴のひとつである美しい木目が表れています。
現在、商品化に向けて奈良県の会社が動き始めています。