江戸川区で現在進行中の夫婦2人の家のプロジェクトです。 敷地は間口5m、奥行き8mの台形で、許容建築面積が60%・22.55m2(6.8坪)、許容延床面積が157%・59.1m2(17.87坪)という小さな家です。
要望としては、
・ リラックスできるリビングとダイニング
・ 床座の生活
・ 短い機能動線
・ 明るく眺めの良い浴室
・ ウッドデッキ
・ シンボルツリー
・ 素材感がはっきりある家
というものでした。
限られた敷地なので、容積率いっぱいに建てる必要があり、3層分のボリュームが必要となります。この地域では地上3階の住宅は建築基準法上の準耐火構造にしなければならず、内装に制限がかかり木部をあらわすことが出来ません。そこで、半地下をつくり地下1階地上2階建てとすることで木部のあらわしを可能にし、素材感のある家としました。
玄関から半層下がった地下には寝室、半層上がった1階には浴室とバステラス、一番環境の良い2階にはリビングダイニングとキッチンを配置しました。この配置により、3階建てながら短い機能動線を可能にしました。
バステラス・吹抜の位置、リビングダイニングの構成が異なる2案を提案しています。
2011年12月24日、クライアントご夫妻からこの第1次案を叩き台に、さらに暮し方に関する要望などを伺い、いよいよ本格的に設計のスタートを切ります。その進捗をこの「設計ノート」でレポートして行きたい、と思います。
[キーワード]
狭小敷地、スキップフロア、開放的な浴室、バステラス、吹抜、屋上テラス
[概要]
構造・RC+木造 規模・地下1階地上2階 敷地面積・37.58m2(11.36坪) 許容建築面積・22.55m2(6.8坪) 許容延床面積・59.1m2(17.87坪) 用途地域・第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域
type A: 建築面積・22.4m2(6.8坪) 延床面積・55.86m2(16.9坪)
type B: 建築面積・22.4m2(6.8坪) 延床面積・56.425m2(17.07坪)
[type A]
東側から見ています。東側に前面道路、南側に農園のビニールハウス、西側に駐車場と三方に開けた周辺環境です。
西側から見ています。西側はマンションの駐車場となっていて、将来建物が建つ可能性が低いので、開口を多く設けました。type Aでは開けた西側の眺望に向けてバステラスを計画しています。
階段によってつながる立体ワンルームの空間です。半地下から屋上テラスまで6つのスキップフロアで構成されています。
半層下がった地下の寝室は、2層分の吹抜から光を取り入れ、地下でありながら明るく広がりのある空間です。
半層上がった1階は、浴室とバステラスです。中央に位置する浴室の東側を地下への吹抜、西側をテラスとしたことで道路からの距離をとり開放的な浴室としています。また洗面室で洗濯したものをテラスや室内に干せるようにしています。
2階はリビングダイニングとキッチンです。キッチンはリビングダイニングより450mm下がったレベルにあり、リビングダイニングの床を掘込み、キッチンのカウンターで食事できるようにするなど、床座の生活のための工夫をしています。
天井高のある地下と2階の間に浴室のある1階が浮いているような構成になっています。
リビングダイニングの床の一部をガラス床とすることで、玄関と階段のスペースを屋根にそって落ちる光が明るく照らしています。
リビングダイニングは3450mmの天井高をもち、半層上がった屋上テラスへの開口から空が見える開放的な空間です。
[type B]
1階の配置の異なる2案を検討し、外の環境と家の中との関係を模索しています。
type Bでは東側にバステラス、西側に地下への吹抜というtype Aとは逆の配置になっています。
450mm下がったダイニングにはテーブルを作り付け、リビング側からは床座として、ダイニング側からは椅子を置いて使えるようにしています。