台風3号が太平洋上にあり、弱い雨が降っている。
7:00に事務所。
いくつかの連絡事項。
昨晩浮かんで来た、住宅建築の連載の「役者の棲み家」の第一回目のサブタイトル案を関係者に連絡。
同じく、NMRの現場で気になることがいくつかあったので、8:00に松岡君に電話して、現場にいるとのことなので、すぐに現場に行き、いくつかの打合せを行い、事務所に戻る。
ORHの平・断面図の確認を行い、チェック事項を書き出す。
スタッフが置いて行ったOZONEのプロフィールの追加分のたたき台を確認しスケッチ。
10:00スタッフとORHとOZONEの打合せ。
進行中のプロジェクトのスケッチ。
14:00前に事務所を出て、武蔵野大学へ。
14:40から空間造形3の第2課題のエスキスチェック。
10人の学生から、事例調査と図書館に設えてみたい空間の調査レポートを聞き、持って来たアイディアについて説明を聞く。
10人中、全体像の提示があった学生は二人。
ほとんどの学生が、書棚とか、部分的なイメージやスケッチ・部分模型による説明。
キャンパス全体からの分析や、サイトの読み込みの必要性を先週アドバイスしたのだが。
10人の説明を聞き、アドバイスを行い、来週は全体像を見据えたスケール・敷地図入りのスケッチや模型を作ってくるように発破をかけて、18:30前終了。
しばらく準備室で休んで、学校を出て、吉祥寺に。
古書店にちょっと立ち寄り、19:30にバウスシアターにレイトショウの、「ホーリー・モーターズ」レオス・カラックス監督のチケット購入しに行く。
先々週の空間造形3の講評会のまとめの言葉で水谷先生がこの映画について触れ、カラックスの新作の存在を知り、限られた期限のレイトショウなので見に来た。
駅近くの居酒屋で、ちょっと一杯と軽く腹ごしらえをして、20:30前バウスシアターへ戻ると、レイトショウだが結構なお客さんがいる。
20:45上映開始で、22:40終映。
「汚れた血」に対する思いが強く、ちょっと見るのが怖かった。
はじめの四分の一くらいまでは、危惧が現実にならなければ、と思ってみていたが、後半は時間を忘れるくらいに入り込んで、そうなったらあっという間に終ってしまった。
見終わった後の感覚はよくわからない感覚で、先週の水族館劇場の「NOSTROMOあらかじめ喪われた世界へ」を見終わった後に感じた、ピナ・バウシュのヴッパタール舞踊団の公演を見た後のような感覚が再び。
駅まで歩く道に、清らかな水のような映画だったな、と印象が浮かんで来た。
カラックスの映画への思いとか、イメージにたくされたもの(そんなものがあればだが)とか、いくらでも読みようがある映画だが、そんなことをしてはいけない、清らかな水のような映画、というのが印象。
大和町に戻り、一杯やっていると、いろいろなことが浮かびがって来る。
一番印象に残ったデパートの廃屋のシーンで、オスカー(アレックスとも言っていた)がエヴァ/ジーンを抱きかかえるシーンは、「汚れた血」でアレックスがアンナを抱きかかえ、熱くなった道路を横断するシーンにだぶる。
そのシーンの後に歌が続くのも同じで、「ホーリーモーターズ」では「私たちはだれだったのか」と言う歌詞で、まるでアレックスとアンナの関係を思い出しているかのようにも思える。
フライーヤーに使われたそのシーンの写真をよく見ると、果たして男性はドニ・ラヴァンなのかカラックスなのかよくわからず、ショートカットの女性はピのシェのようではないか。
ラストに大きなリムジンが沢山帰ってくる場所のファサードは、どう見ても映画館のビルディングタイプで、モーターがついた大きなリムジンは、フィルムの映写機やカメラを連想してまう。
というように一杯やっていると次々にイメージが浮かび上がってくるので、寝ることにする。
カラックスは現在53才、「汚れた血」が27年前の26才の時の映画。
僕は最近年をとったからか、洗練されたものよりプリミティブなものにひかれるようになっていて、「清らかな水」よりやはり「汚れた血」にちょっとひかれる。
そして映画へのオマージュということで、ツァイ・ミンリャンの「楽日」を思い出した。
ともかく、いろんなところを刺激してくれる映画だった。