6:00に起き出し、6:30に下に降りて事務所へ。
メールチェックと連絡事項。
早稲田松竹に行こうと調べごと。
日報を書き足し、昨日の続きで「おちょこの傘持つメリーポピンズ」のセットのために、マーキングした台本をざっと見直し再度セットのスケッチを行う。
9:20に事務所を出て、早稲田松竹へ。
ニコラ・フィリベール監督特集「全ての些細な事柄」「動物、動物たち」「ぼくの好きな先生」の三本立へ。
「全ての些細な事柄」はラ・ボルトの精神科の診療所で行われる患者による演劇上演の準備から終演後までを記録したドキュメント。
患者たちが広々とした庭を俯いて歩く姿を見て、40年前にウィーンのオットー・ワーグナーのシュタインホーフ教会を見に行った時のことがすぐに思い出された。
そこも精神科の病院の中にあり、広場を患者たちが俯いて歩いていた。
ラ・ボルトで行われるゴンブローヴィチの「オペレッタ」はとても本格的で、長い時間をかけて患者さんたちが稽古していく。
そして徐々に鬱々とした表情が薄くなり、とても魅力的な本番が繰り広げられる。
そして祭り後はまた、俯いて広場を患者さんたちが歩くところで終わる。
映画と演劇の持つポテンシャルを実感する。
「ぼくの好きな先生」はフランスの田舎町の学校のドキュメンタリーで、幼児から中学へ行く前の子供達が一人の先生のもとで一緒に学んでいる。
当たり前だが、それぞれの子供に個性があり、少人数なのでそれぞれのことをよくわかっていて、先生も一人一人と向き合っている。
すごい出来事が起こるわけではないのだが惹きつけられる。
ドラマのシナリオがいかに決めつけた人物描写や台詞になっているのかに気が付く。
16:00前に終映し、西荻窪のスーパーで買い物をして事務所に戻り、反芻しながら日報を書き、映画について調べる。
夜はノンアルデイでu-nextで、「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」ユン・ジョンビン監督を見る。
一度見たことがあるような気がしたが、やはり見ていた。
しかしながら、韓国の歴史的転換点、金大中が大統領の選挙に出て勝利する前後の話で、架空の話だとしてもとても緊張感があり見続けてしまう。
また、2021年に釜山で作った「The NOW」でお世話になったイヌさんが出演していたことに気がついた。
自分たちの立場維持のため、保守陣営に選挙で勝たせるようと、国家安全企画部が北朝鮮と通じて、国民の不安感を煽るために外貨と交換に攻撃を依頼するという、日本でも度々話題になる同時性の工作が重要なテーマとなっていて、良くできている。
全くのフィクションでもないらしいことが、冒頭の説明にある。
韓国の現代史はドラマチックでいい映画がたくさんあるが、日本でもここまでドラマチックでなくとも取り上げてほしい事柄はたくさんあるが、この国では無理か。
1960年代などにはたくさん政治的な良い映画があったが。